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かじりアト

ややオタク寄り。平凡アラサーOLの独り言

「すべてがFになる」森博嗣 感想

小説

 ※注意※ ネタばれあります。

500ページという分厚い文庫に、余すところなくぎっしりと詰め込まれた本作品。久しぶりにこれだけ読み応えのある肉厚な作品と出会いました。もちろんただ肉厚なだけではなく、これまで聞いたこともないような、ありえない事件が発生したと思ったら、今度はとんでもない事実が次々と明らかになり…といった形で、読者をどんどん引きずりこんでは離さない構成。さすがはベストセラー小説、もうお腹いっぱいです!

 

しかしながら、実は私、既読者から「真賀田四季の容貌にヒントが隠されているのよ!」と予め聞かされてしまっていたため、「絶対そこに何かあるはずだ」と、必要以上に訝しみながら読み進めてしまい、結果、最後のネタばらしではあまり驚きがありませんでした(悲)。
こういったミステリー小説でのネタばれは感動が半減してしまうので本当にNGですね。失敗したなぁ。

 

本作品は登場人物、特にメインキャラクターが非常に良い味を出しています。
卓越した指向性をもちながらも、どこかおっとりした印象のある犀川創平や、頭の回転はピカイチだけど一般常識には疎いお嬢様・西之園萌絵はもちろんのこと、特に真賀田四季の涼やかな天才プログラマーキャラは別格です。一言一言がミステリアスで、立ち居振る舞いも人間離れしている彼女。最後の最後まで見事にしてやられました。完璧すぎて清清しさしかないこの感じ、堪りません。

 

そして彼女の「生きていること自体がバグ」という考えは非常に興味深かったです。確かに、眠りから覚める「覚醒」は不快だし、逆に眠りに落ちる心地よさは替えがたいもの。それに、バグだと思うとなんだか肩の力が抜けてリラックスできるのは何故でしょう。別に、「どうにでもなれ!」といった自棄な感情からでもない気がするし。不思議です。

 

ただ、トリックの解説を読んで、さすがに無理があるのでは!?と思う点がいくつかあったことも事実。入れ代わりとか、誰にも気付かれないっていうのは都合が良すぎでは・・・?

 

そんなひっかかりも少しあるものの、全体的に見て大満足の一冊。昨年を締めくくるにふさわしい一冊でした。

 

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)