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かじりアト

ややオタク寄り。平凡アラサーOLの独り言

「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎 感想

小説

大学時代、普段は落ち着いているサークルの先輩が、その日に限ってはものすごく興奮した面持ちで部室に飛び込んできて、「とにかくこの本は面白いのだ」と熱弁していた一冊。それが、伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」でした。
ずっと気になりつつも読めてなかったこの本。かれこれ数年を経てようやく読了です。

そして読んでみてやっと分かった、あの先輩の興奮の理由。
これが興奮せずにいられるか!いや、そんなの無理!
私自身、読み終わって数時間は胸の鼓動が鳴り止まず、様々な感情が入り混じった気持ちを多大に持て余してしまいました。

そういったこともあり、いざこの本の感想を書こうとすると、一体どこからどう手をつけたら良いのやら、全くまとまらず。読んでる最中にも各シーン毎に思うところがあり、泣いたり笑ったり大忙しだったため、それを全て書き出そうとすると1記事ではきっと足りません。

とにかく全体を通しての疾走感が凄まじい。本作は、首相暗殺事件の犯人として巻き込まれた青柳雅春の、事件当時と過去の記憶が交錯する形で進んでいきます。過去の記憶や人間関係が今に繋がり、どんどん話が流れていくこの感じ。伊坂幸太郎さんの非常に上手いところです。
また、彼の文章はどこかユーモアがありつつテンポもよくて読みやすいのですよね。勿論お会いしたことはありませんが、きっとこの方は“気の良い兄ちゃん”的な性格をされているんじゃないかと思っています。一度お話をお伺いしてみたいくらい。

その一方で、有無を言わさず暗殺犯に仕立てあげられ、その巨大すぎる陰謀に為す術もない状況に追い込まれた主人公。それだけでなく、知己の友人や身近な人間を殺され、それでなくとも暴力を振るわれたりと、この不条理さ加減には堪え難いものがありました。だからこそ、この状況を打開しようともがく主人公の姿や、陰ながらサポートする周りの人々の姿に心を打たれるわけですが…。読書をしていてこんなに悔しい思いをしたのは久しぶりです。最後の結末にも、喜んでいいのやら悲しんでいいのやら、色んな気持ちがないまぜになってしまいました。

とにかく物凄い一冊。時間があれば、他の作品も一気に読み漁りたい気分です。

 

ゴールデンスランバー (新潮文庫)

ゴールデンスランバー (新潮文庫)